ららら紀行

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うなぎ弁当に舌鼓
~天浜線気まま旅のススメ~
#湖西市  #うなぎ  #浜名湖天竜鉄道  #ガストロノミーツーリズム  
1935年掛川から遠江森駅間開通。1987年には「天竜浜名湖鉄道」として開業以来、「天浜線」と親しまれているローカル鉄道です。
懐かしい雰囲気がある車両に乗り、ららら〜と「新所原駅」で下車してみてください。そこには旅の途中でぜひ味わっていただきたい、「うなぎ店」があります。

新所原駅に広がる幸せの香り「駅のうなぎ屋」の名物弁当




天浜線「新所原駅」

「天浜線」湖西市の「新所原駅」。香ばしい香りと煙が漂う、駅舎に店を構える「駅のうなぎ屋 やまよし」。
1990年創業以来、お客様に喜んで欲しいという一心で、うなぎと真摯に向き合う、家族で営む小さな名店です。


駅舎に店を構える「駅のうなぎ屋 やまよし」

元々浜名湖うなぎの養鰻業を営んでおり、「自らが育てた浜名湖うなぎを自らの手で直接お客様に届けたい。」
そんな思いから駅のうなぎ屋さんを始めました。


味へのこだわりは、仕入れから始まる


国産うなぎの仕入れ状況が厳しい状況の中でも、やまよしでは浜名湖産を中心に国産うなぎだけを仕入れています。
その中でも、やはり浜名湖うなぎへの想いは強く、浜名湖うなぎは格別だと山田さんは語ります。
「浜名湖は海水と淡水が混ざり合う汽水湖で、多くの魚類を育んでいます。栄養分となるプランクトン、ミネラルも豊富で、その水質はうなぎの養殖にも最適です。」

現在、養鰻業は行っていませんが、今でも変わらず生産者との深い付き合いがあり、その関係が質の良いうなぎの仕入れにつながっています。
エサの配合や飼育方法、水質など、生産者ごとに持つこだわりも把握し、熟練の目利きで仕入れる。
そこまでできるのは、生産者との信頼関係が築けているからこそ。
一本一本手で触り、やわらかさ、色を確かめるのだそう。香り、身質、脂乗りのバランスに優れたうなぎの選別は、“目利きの力”があるからこそ成せる業です。

しかし、良いうなぎを仕入れられたからといって、美味しいうなぎを提供できるわけではありません。
うなぎの状態や季節によって、包丁の入れ方、骨切りの量など、裂きの仕方が変わります。
味はもちろん、その後の焼き上がりも大きく変わってくるほか、骨切りを丁寧にすることで、お子様でも安心して食べられるほど骨が気にならない仕上がりになるのだそうです。

裂きの後の焼きにも人並ならぬ手間をかけています。
うなぎ一本一本の身質に合わせて焼きをしているため、その焼き方は毎日変わるというのだから驚きです。


外はパリッと香ばしく、中はふわっと程よい脂の旨味
旅の楽しみを彩る唯一無二の味


蒸しを加えず、独自の製法で焼き上げる唯一無二の白焼きは、美味しさが詰まったここでしか味わえない看板商品です。
パリッと焼かれた香ばしい皮、程良い脂の旨みが失われない絶妙な焼き加減。
まさに、すべてのこだわりが集結して作り出した逸品です。
そんなこだわりが詰まった白焼きを自家製タレにたっぷりくぐらせ、ジュウジュウいう音と、香ばしい香りとともに蒲焼に。
タレをたっぷりしみ込ませた地元産コシヒカリのほかほかご飯の上にのせ、再びタレをたっぷりかけたら、駅のうなぎ屋名物「うなぎ弁当」の出来上がり。


香ばしい煙とともに焼き上げる極上の蒲焼

最後に自家製のタレをたっぷりとかけたら出来上がり
「うなぎ弁当一本入り」2,800円(税込) 〈2025年1月〉

蒲焼の香ばしい香りに誘われて、思わず足を止め、つい買っていく方も多いはず。
注文してから作ってくれるので、いつでも出来たてを味わえるのもうれしいポイントです。
できるだけ温かい状態を保てるよう、新聞紙で包んでくれるところにも、優しさと心遣いがあふれています。

保温用に新聞紙に包んでくれるのがうれしい。温かいうちに食べてね。

仕入れ、裂き、焼き、どれ一つとっても一切妥協しない。
このうなぎへの愛、お客様へ本当に美味しいうなぎを届けたいという想いが、多くの人を魅了するのだと実感しました。
命をいただくことに対する感謝も改めて考えさせられます。

駅のホームの小窓から見える焼き場、駅では珍しい香ばしい幸せな香り。
天浜線に乗り込み、車窓からの風景とうなぎ弁当を楽しむ。
次の目的地までの道のりをこんなに贅沢で優雅なひとときにしてくれる、ひとつのお弁当。
「駅のうなぎ屋 やまよし」のうなぎは、一度は味わうべき静岡の宝でした。


ホーム脇にある小窓の先に見える焼き場


「駅のうなぎ屋」の名で親しまれている。現在はテイクアウト専門


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駅のうなぎ屋 やまよし
湖西市新所原3-5841-17浜名湖天竜鉄道新所原駅構内
電話/053-577-4181
営業時間/10:30~18:30
定休日/火曜日
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写真:藤本 陽子
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